日記1

葛 ゆらめ 『』内はゆらめの台詞


 「葛 ゆらめ」。彼女は男子・・・と思ってたが、中学校の頃に健康診断を受けた時、
性別的には女子であることが分かった。
 最初は当惑していたようだが、高校に上がる際、女子高へ入学する時も自然と溶け込めていた。 幼さが残る容姿と少女のようなぱっちりとした目が、周囲に好感をもたらしているようである。

 ただ、性格は排他的な傾向があり、周囲に対してツンとした態度をとることが多い。男子としての 自己意識も残っているようで、「ボク」という自称名詞を引きずっていて、自分を若干誇大に表現する こともある。

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学校のお昼休み。ボクは自分の机でお弁当をつついていた。

女子「葛(かずら)さ〜ん!お弁当一緒に食べよう!」

『・・・。』

 耳元で声を張る女子を無視。でもその子の机はズケズケとボクの机に くっ付いてきた。取り巻きっぽい子達もそれにあわせてくっついてくる。

 ボクには「アレ」が付いている事は既に知られている。自分から言ったわけではないけど、 この女子高にボクが入れたのも普通の子より特殊な体質だったからで、鬱陶しいけど仕方ない。

女子「葛さんてカワイイよね〜v」

『頭撫でるな馬鹿。』

女子2「ツンツンしてんのが又たまんないぃいい♪」

 お弁当を食べてるボクの頭をナデナデ、ほっぺプニプニ。本当にうっとうしいなぁもう・・・。

『むぅ〜!やめろ!食べられないだろ!?』

 ほっぺを膨らせながら不満をあらわにして食べているのに、この子達はボクにまとわりついてくる。 あんまり「カワイイ」って言われるのは嫌だ。気恥ずかしい。

女子「ゆい。あれ、持ってきた?」

女子2(ゆい)「あぁ。もっちろん♪はい、なっつん♪」

 きゃあきゃあと黄色い声をあげながら ゆいに群がる女子連。 そのカバンからは薄い本が出てきた。ボクは横目で見ながら、思わず 口に入れてまだ噛んでいない厚焼き玉子を飲み込んだ。

女子(なつ)「きたー!神光臨!」

女子3「ゆい・・・こういう時だけ機敏すぎるよ。」

ゆい「えっへへぇ〜♪」

 ぼ、ボーイズラブ・・・しかもボクの一番好きな作家さんの・・・。 ボクは弁当に顔を近づけながらチラチラとその本を盗み見る。

なつ「葛さん見るぅ?」

 とっさにご飯を噴出すボク。

ゆい「ユラは女の子だけど昔は男の子だったんでしょ?流石にBLは関心ないんじゃない?」

 ボクが男だったこと、男子として生活していたことはもう知られている。 大っぴらにはして欲しくなかったが、知られて困るというレベルでもない。

 そんなことよりBLBLBLBLBLBLBLBLBLBLBLBLBLBLBLBLBLBLBLBL・・・・・!!!!

中学の頃からBLがたまらなく好きだった。最初は買うのを躊躇ってこっそり立ち読みしていたけど、 今ではどっさりと棚に山積み。

なつ「やっぱりツバサがカッコイイよね〜v」

ゆい「そうそう!ツバサに抱かれてぇ〜!優しい声で耳元で囁かれたら死んでもいい!!!」 女子3「あ、わたしはストーリーに惹かれて買ってるだけだから・・・。」 なつ「みぃはむっつりだなぁ〜w」 女子3(みゆ)「ち、ちがうってぇ!」  うぅ〜。この子全然分かってない!タチ(責め)のツバサよりもネコ(受け)のライトのが断然イカス! あのつぶらな瞳で見つめてくるライトたんのお尻に優しく合体させたいよぉ〜・・・!

 でもだめ!こんなのが好きだっての知られたら笑われちゃう。ボクはポーカーフェイスを決め込んで 黙々とお弁当をかきこむ。・・・もうBLが気になって味がしない。

なつ「そういえば葛さんは おちんちんあるんだよね?」

『ぶっ!!』

 二度目の墳杯。吸い込んでいた牛乳にむせるボク。ゆいこが背中をさすってくれた。

ゆい「ちょっとぉ。そんなの聞くモンじゃないぞぉ?」

『げへっ!げへっ・・・べ、別に、コホッ・・・いいけど。』

なつ「だって羨ましいんだもん。こういう本にある夢の花園が付いてるんでしょ?」

みゆ「夢の花園って・・・。」

ゆい「や、やっぱりさ。おちんちんって、この・・・漫画くらいのものなの?」

なつ「誇張してんじゃない?漫画のおっぱいも凄いの多いじゃん。」  ずいっとボクに漫画の性描写シーンを突きつける。ふとガン見してしまった。立派に剥けあがった 20センチ近いちんちん・・・。顔が熱くなってくる。

『ん・・・ど、どうだろ。別に他の人のと比べたことないし・・・。』

なつ「葛さんのはどうなの?」

 ぐっ・・・。ボクの中で時間が止まった気がした。周囲がどんなリアクションしていたのかも 分からない。でも、ボクはなんかプライドが許せなくて自然と口が動いていた。

『ん、うん・・・ま、まぁ、この漫画くらい・・・だね。』

 沈黙の後周囲が湧く。ボクは恍惚感と罪悪感が混じった気持ちでいっぱいになった。
ボクはこっそりと股間にある自分のモノをスカート越しに握り締めた。あんなもの見せられたこともあって 少し大きくなっちゃったよ・・・それでもあの漫画の3分の一以下の大きさだけど・・・(汗

なつ「ま、マジ!?そっかぁ〜・・・やっぱ葛さんすごい・・・」

ゆい「寝かされたら葛さんの奴隷になっちゃいそ〜・・・」

みゆ「こ、この漫画・・・くらい・・・」

なつ「みぃ、顔がゆでだこだぞ。」

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 放課後。ボクは机の上にカバンを置いて、ノロノロと時間を稼ぐために 1冊1冊教材を入れていた。 なつ「葛さん帰らないん?」

『ん?あ、ぼ、ボクちょっと学校に用事あるから。』

なつ「そっか。んじゃ又ね!」

 ゆいが廊下に出て行き、教室にはボク一人。お昼休みの一件でスイッチが入ってしまい、 よりによって学校でやりたくてしょうがなくなってしまっていた。

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