日記1

富中 なつ


『・・・ってわけで、みぃ、っていうかみゆこが付き合いたいんだって。』

みゆこ「よろしくお願いします!」

 体育館裏・・・

 頭を下げて手を差し出すわたし達二人を見て、「葛 ユラメ(かずら ゆらめ)」さんは ロングの髪を右手で撫でながらこちらを見る。

 葛(かずら)さんはパッチリとしながらも鋭さがある目の女の子。 確かに綺麗でどこか愛らしく、女子にもかなりモテる。わたしのクラスメイトも2,3人は 告っている状況だ。
ただ、普段から勝気な性格でなにかあるとすぐに食って掛かる、むしろ口が悪い性格。 にもかかわらず、女子の中でも小柄で、まるで妹みたいな目で皆見ている。葛さんは多分Sなんだろうなぁ。
 よせば良いのに、葛(かずら)さんを呼び出してオツキアイ申請。確かに人気あるけど、マスコットみたいな人気が強いし、お付き合いなんて大それたことはしないほうがいいのになぁ・・・。

   葛「い・や・だ!女の子同士で気持ち悪いよ!」

が〜ん!!!

・・・いや、分かってたけど・・・だって、今まで誰もお付き合いに成功したことが無いんだもの。

『・・・そうだよね。ごめんごめん。』

大して食い下がるわけでもなく、みぃと二人でトボトボと帰還する。

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みゆこ「・・・ふぇええ・・・。」

 教室に戻ると、みゆこは机に突っ伏して泣き出した。 相当ショックだったんだな・・・。葛さんの刺々しい断り方もあるだろうが、 それ以上に、成功すると思ってたようなショックの受け方にあたしが驚いてしまう。

『泣くなってみぃ。大して期待せずに行こうってなったんでしょ?』

みぃ「ぐひっ・・・そうだけど・・・そうだけど・・・うぇええ・・・。」

 みゆの短い黒髪を撫でてやる。まぁ、所詮は高嶺の花だったわけだ。今日はカラオケで憂さでも晴らそうかな。

『ほらほら、帰りちょっと遊んでこうよ。』

 俯いたまま顔を横に振るみゆ。思った以上に重症みたい。

『・・・アド交換くらいならOKしてくれるんじゃない?』

みゆこ「・・・うん。」

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みゆこ「・・・ねぇ、やっぱりやめない?」

 葛さんの教室の前で随分弱腰になってしまったみゆ。さっきフられたのにノコノコと再会するんだから 分からないでもないけど・・・。

 教室を覗く。奥の方に茶色いロングヘアーの子が下を向いて何かをしている。どうやら葛さんのよう。 他には誰もいないみたいだし、今がチャンスかも。

葛「ぐっ・・・んんんっ・・・。」

 低い唸り声を出している。髪が顔にかぶさってよく見えないが、顔を真っ赤にして苦しそうだ。 わたしはみゆこと顔を見合わせる。

みゆ「な、なんだろう・・・?」

『わかんない・・・。』

 身体を揺すりながら苦悶しているようにしか見えず、いきなり声をかけるのもはばかられるほどだ。
そろそろと教室に入り、葛さんの様子を見る。

葛「はんっ!!あぁっ・・・!!」

 いきなり声を上げる葛さん。ただごとじゃない!わたし達は急いで駆け寄った。

『か、葛(かずら)さん大丈夫!?』

オナニー後のふたなりっ娘

葛「あっ・・・。」

みゆこ「え・・・。」

『・・・。』

 葛さんは下半身丸出しだった。ただ、そんなことよりも驚いたのは、陰毛も何も無いツルツルの股間に、 なにか付いていることだった。わたし達の目線はそれに釘付けだった。

 芋虫みたいなプリプリした突起の先から白いものが噴き出ていて、そのニオイなのか周囲に独特な香りが 立ち込めている。それを乗せる土台のようなきんちゃくが可愛らしく椅子の上に乗っていて・・・。

 以前葛さんが話してたのとは全然違って、カワイイカワイイおちんちんがそこにあった。

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 気が付いたらわたし達は全速力でその場から逃げていた。
異物を見た恐怖というより、葛さんが”隠していた秘密を覗き見てしまった”気まずさが大きかったと思う。

 『はぁ・・はぁ・・・。』

みゆこ「ひぃ・・・ひぃ・・・」

 気づけば校門の前。頭がくらくらして平衡感覚がつかめない。葛さんと目が合いそうで振り返れなかった。
『・・・・。』

みゆこ「・・・」

 お互い何もしゃべらなかった。ショックというかなんというか、なんて言えばいいのか整理できない。 とりあえずわたし達は何も言わず帰途に着いた。

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 ドラマのエンドロール。好きな番組なのに全然頭に入らなかった。ずっと頭の中でさっきの 葛さんの、えもいわれぬ匂いが再生され続けていた。
 葛さんはショックだったろうに、わたしは思い出すたびに胸が締め付けられるような興奮をおぼえ、 顔が熱くなっていく。

 観たいテレビも終わり、お風呂に入ろうとソファーから腰を上げる。そのタイミングで机の携帯から わたしの大好きなバンドの着メロが響く。

 どうやらみぃからのようだ。わたしは携帯を取って、もう一度ソファーに腰掛ける。

みゆこ「あ、なっつん。今大丈夫?」

『うん。何?』

みゆこ「いや、さっきの・・・葛さんの話なんだけど。」

 しばし沈黙。気まずくなってきたので、わたしからみゆに声をかける。

『あ、あれって・・・あれだよね・・・?ち、ちん・・・ちん。』

 そう言った途端、さっき見た”モノ”が鮮明に脳裏に蘇ってきた。白濁した液を手につけてしまうほど なのに、とても可愛らしいプリプリした突起。生で見たのは初めてだった。

みゆこ「あ、あたし、一人っ子だから、あんなの見たの初めてで・・・。」

 思い返す。一度だけ水泳の授業で葛さんの姿を見たことがある。あっけらかんと着替えるほかのクラスメイトに反して、 葛さんは大きなバスタオルで隠しながら着替えていた。
 タオル地から胸の谷間が見えたけど、どう考えても女の子だったよなぁ。

みゆこ「お、オナニー・・・見ちゃったね。」

『う、うん・・・。』

 心臓がドキドキしてきた。みぃの口調も興奮を隠せないトーンになっていく。

『あれってさぁ・・・あの、ちんちん擦ってたってことだよね・・・?』

みゆこ「そりゃそうだよ!・・・だってほら、右手にべったりかかってたし。」

 でも、なんとなく葛さんが同性に惹かれる理由も、頑なに断っていた理由も分かる気がした。 このあともみぃと二人で葛さんの話をずっとしていた。

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