日記1

紫水 もか


オナニー後のふたなりっ娘

 お気に入りの街並みを歩きながら、わたしは今話題の小説に目を走らせていました。 休日に近くのカフェへ行く時は大抵こんなスタンスです。

『はぁ・・・。』

 小説を一区切りまで読んでから甘いため息。やっぱりベストセラーだけあって素敵な 話だなぁ。
 わたしは活字好きだけど、人気作品とか人気作家の人とか、ベストセラーと謳われている 作品についつい目が行ってしまう、きわめてミーハーな読書ライフを送っています。
 まぁ、好きで読むんだし仕方ないよね。あ〜はやくお気に入りのキャラメルマキアート啜りながら この小説の続きを読みたい〜・・・。


  「お!モカじゃん!」

 大きな明るい声が背後から聞こえてきました。わたしのクラスメイトの女の子が ニコニコと大手を振っていました。

『あぁ。こんにちは ハズキちゃん。』

ハズキ「ん?何読んでるの?」

『これ?ほら、今評判のやつ・・・。』

ハズキ「ん〜・・・そんなんよりさぁ、ウチの部活のマネージャーやってよぉ。」

 もう定型分となった台詞に、わたしはいつもどおり首を横に振る。

『だから相撲部は・・・。』

ハズキ「相撲部じゃないっての!護身実践部!女子でも出来る護身術を研究して、 最近は小さいながらも地区大会が・・・!」

『はいはい。でも、ふんどしなんてはきたくないもん。』

 ハズキちゃんの部活の護身術は相撲のスタイルを強く取り入れている らしく、その流れで何故かふんどし着用で活用しているんです。

 初めて見たときは笑っちゃいました。

ハズキ「ふんどしったって、ジャージとか体育着の上に巻くだけだよ〜。 腰周りをつかむ技が多いからズボンとかパンツのゴムが伸びないようにふんどしをね・・・!?」

『あ〜も〜。わかったから諦めてよぉ。』

 ここでいつもと同じく「ぐぅ・・・」と唸って話題が逸れる・・・筈だったのですが・・・。

ハズキ「・・・もかってバイトしてるでしょ・・・?」

 わたしは心臓が口から出そうになりました。全身から血の気が引きます・・・が、わたしはまだ顔だけは 平静を保ってハズキちゃんの方へ向き直りました。

『え、他人のソラ似じゃない?』

ハズキ「ふ〜んそうかなぁ〜♪」

 鼻唄を唄いながらわたしの表情をまじまじと見るハズキ。表情では隠せないほどわたしの顔は 熱くなってきていました。

ハズキ「まぁ、細かいことはカフェで話そうよ。」

『い、いいけど、なんかの勘違いよ・・・そう。勘違い・・・。』

 まるで自分に言い聞かせるように呟きながら、わたしはハズキちゃんの後を追うように お気に入りのカフェへ入りました。いつもよりも冷房が効いている気がしました。

GOTONEXT!

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